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リレーエッセイ

ヒューマン・チェーン

支部理事、日下レアメタル研究所 鹿毛秀彦

桜前線北上中,先週の日曜日13日はまだ仙台辺りが,今朝のニュースでは「昨日(21日)札幌で開花」,「例年より2週間早い」とのこと。これも気候が大きく変わりつつある現象の一つか。

人類が地球にもたらした長年の負荷でオゾンホールが出来,平均気温の上昇は北極海を解かす一方で干ばつや砂漠化,巨大台風や竜巻,爆弾低気圧まで作り出しているのかも知れない.だが地球は,まだ466m/s(1,677km/h)の周速で自転し29.8km/sで太陽の周りを公転している。先日月探査機「かぐや」からの“満地球の出”なる写真をみて改めて地球の美しさを知り,「美しい地球をまもりたい」との思いは私だけではないだろう。

新年度が始まって3週間,多くの新入社員が慣れ親しんだ学生生活から会社という新しい環境に飛び込んだわけだ。不安と期待という相反する二つの心境を抱えて新しい生活が始まったことだろう。学生生活が安定・充実していた人は「不安」が,逆に何とか卒業できた人は「期待」が大きいのではないだろうか。どちらにしろ長い養育環境を卒業して実践の場に出たのであるから,これからの人生がどの様な放物線を描くかは自分の「やる気」次第である。今のうちに自分を鍛え磨いて頼りになる人,人に感謝される仕事が出来る人に育って欲しい。

 今更ながら「混雑した電車のホームでは勝手気ままに歩くことが出来ないのだ」と悟っている。人間社会の人口が多くなると,衣食住は勿論のこと全において他人に依存し,連鎖の枠組みの中に存在していることを改めて実感している。前が空いたら駈け出しても一つ前に詰めるのも自分の思うままだが,塞がれたら前が空くまで歩調を合わせなければならない。急ぐなら声をかけて,声をかけられたら通してあげよう。混雑したホームで前後左右を他人に囲まれている時,その人達はどんな人なのか分からないが,自分に無関係な人はいないだろう。

 8月に北京でオリンピックが開催される。聖火のリレーで異変が報じられている。目的はそれぞれの繁栄と幸福で同じあろうが,別の民族,別の考えをもった他国であると考えるのは良くないだろう。先の連鎖を思い起こして「他」が持つイメージを「隣」と変えたらよいのではないだろうか。「他人」を「隣人」に「他国」を「隣国」と置き換えると意味が通じ,かつ急に自分に近づいてくるから不思議である。とにかく思想,宗教,武力や金で抑えつけるのは良くないだろう。お互い「話し合いの余地無し」言うが,本当に双方とも一分の邪念も無いのだろうか。

(H20.4.22)