関東支部の活動

研究

日本鋳造工学会 関東支部研究部会 第74回講演会

更なる高機能・高性能に向けてのアプローチ2

 

去る平成18年12月8日(金)、『更なる高機能・高性能に向けてのアプローチ2』をテーマに、第74回関東支部講演会が渋谷区恵比寿のエビス303ビルにて開催されました。

鋳造製品の市場を拡大していくために、より高機能・高性能製品を開発していかなければなりませんが、そのためには鋳造品の性能を正確に理解することも重要であることは言うまでもありません。今回はこのような視点で、球状黒鉛鋳鉄とアルミニウムダイカスト合金の強度特性に関する2件の講演を企画しました。

「球状黒鉛鋳鉄の疲労強度特性に及ぼす大気中水分の影響」/武蔵工業大学工学部 白木 尚人氏、「アルミニウムダイカストにおける破断チル層等異常組織と強度」/リョービ(株) マーケット開発部 駒崎 徹氏の2つの講演は、ともにタイムリーな内容で、講演後は聴講者(30余名)との質疑応答で時間超過の盛況な講演会となりました。

球状黒鉛鋳鉄の疲労強度特性に及ぼす大気中水分の影響
武蔵工業大学工学部  白木 尚人 氏

白木 尚人 氏 白木先生から、球状黒鉛鋳鉄の水脆化について熱意のこもった講演がなされた。相対湿度、マトリックス種類(フェライト、ソルバイト、オーステンパ処理ベイナイト)等の条件を変量して、応力拡大係数範囲と亀裂親展速度に関するデータを系統的に検討された。これらのことから水脆化の発生しやすい条件やメカニズムについて報告がなされた。高力鋼において同様の現象があるかどうか、水との反応で発生する水素の影響はどうか、など活発な質疑討論がなされた。

アルミニウムダイカストにおける破断チル層等異常組織と強度
リョービ(株) マーケット開発部  駒崎 徹 氏

駒崎 徹 氏 駒崎氏から、コールドチャンバダイカストにおける異常組織(破断チル層、粗大組織など)の種類の区別と各々の組織の発生メカニズム、機械的特性への影響について系統的な知見が述べられた。やはり、大変に活発な質疑がなされた。介在物の影響や疲労寿命への影響も含めて今後ますます、こうした知見の重要性が高まるであろうとのコメントがだされた。