関東支部の活動

研究

日本鋳造工学会関東支部 第81回講演会

最近の鋳造CAEの発達と高付加価値鋳物の商品開発事例のついて学ぶ

「最近の鋳造CAEの発達と高付加価値鋳物の商品開発事例のついて学ぶ」をテーマに8月19日早稲田大学理工学部西早稲田キャンパスの1教室を使って行われた。以下の2講演は、ともに興味深い内容で、50名を超える多数の会員の方々に聴講頂き、質疑も時間いっぱいになるほど活発に行われた。その内容を、次のように簡単に紹介いたします。

最近の鋳造凝固シミュレーション
(株)イーケーケージャパン 久保 公雄 氏
久保 公雄 氏

 「最近の鋳造凝固シミュレーション」と題して、(株)イーケーケージャパンの久保公雄氏よりご講演を頂いた。
 旧来の流動凝固計算に加え、鋳巣の予測においては、静水圧の伝導などを考慮した精密な予測が計算機で可能に成りつつあることが紹介された。フェーズフィールドやセルラーオートマトンを利用したミクロ凝固組織の予測が進んでいることが紹介され、実際に、実験で得られた結晶粒の形状分布と計算の結果が概ね一致するまでに発達していることが紹介された。さらには、凝固収縮や、鋳物の凝固後の収縮に対する砂型や金型の反力も考慮した残留応力計算が可能になってきており、今後、さらに精度が向上していく旨、解説がなされた。

高付加価値鋳物の商品開発事例
伊藤鉄工(株) 松本 誠 氏
松本 誠 氏

「高付加価値鋳物の商品開発事例」について、伊藤鉄工(株)の松本誠氏よりご講演を頂いた。フランス製の高級鋳鉄調理器具に対抗すべく、調理器具の安全基準をクリアし、薄肉軽量で加熱中の熱歪みが小さく、油ののりが良い製品の製造に成功した。油のりの良さは、球状黒鉛が適度に脱落した凹凸によるのではないかとの見解が示された。この調理器具の良さは今では一流のシェフにも支持されるようになっている旨、講演がなされた。