関東支部の活動

研究

第86回関東支部講演会

第86回関東支部講演会開催される

研究委員会

 平成24年12月6日に日立金属高輪和彊館にて第86回支部講演会が開催された。

 はじめに、㈱田島軽金の駒木博氏から「アルミ基複合材鋳物のハイブリッド砂型低圧鋳造法の開発」と題して講演された。アルミ基複合材は、従来から難鋳造材として多くの課題を持っている。そのアルミ基複合材を鋳造性良くかつ高い生産性で鋳造するために、砂型鋳造に低圧鋳造原理と高周波押湯加熱技術を適用して高度化した革新的な鋳造法(ハイブリッド砂型低圧鋳造法)を開発・実用化した。アルミ基複合材鋳物への低圧鋳造の適用によって、大幅な薄肉化・ニアネットシェイプ化が可能にした。また、最大の問題であった気泡欠陥が大幅に減少し、また外観品質や材料歩留についても顕著な改善効果が得られるなど、極めて優れた鋳造性が得られることを明らかにした。

 続いて、産業技術総合研究所の岡根利光氏より、「銅合金鋳造技術の最近の進展」と題して講演された。講演では、鋳造協会(非鉄金属鋳物協会)と鋳造工学会の銅合金合同技術委員会について近年の活動を中心に紹介した。鉛フリー銅合金鋳物の開発およびJIS化、それに伴う作業標準、材料標準など各種標準の作成、RoHS対応銅合金・アルミ合金鋳物の分析標準について紹介した。また、サポイン事業の成果も紹介され、軸受用銅合金鋳物の環境規制対応に対応した材料開発の事例として、α銅とδ銅が層状に出現した共析組織を持つCu-Sn-Ni-Bi-S系合金について、材料組織、耐摩耗性、耐焼き付き性などについて紹介した。その他にも、NEDOプロジェクトによる開発の成果として、産総研のものづくり支援のためのITツールとして、加工技術データベー ス(鋳造・熱処理)、技術・技能継承支援のための加工テンプレート、中小企業のIT化支援ツールとしてのMZプラットフォームについても紹介された。

 アルミ基複合材料の革新的な製造技術、銅合金鋳物に関する最近の技術に関して、聴講された方々からの質疑応答や意見交換などが行われ、盛況な講演会となった。