関東支部の活動

研究

第34回加山記念講演会が開催される

(公社)日本鋳造工学会
東京電機大学 原田陽平

  2023年4月14日に第34回加山記念講演会が開催された。千葉工業大学教授の本保元次郎先生より「加熱鋳型式連続鋳造法と等軸晶」と題して、ご講演いただいた。今回は機械振興会館、ならびにオンラインでのハイブリッド開催であり、現地会場とオンラインあわせて50名程度の聴講数であった。
 最初に、等軸晶の主な生成理論についてご紹介いただいた。核生成サイトを溶液中、鋳壁近傍の過冷帯、鋳壁上とする種々の理論がある中で、鋳壁上での核生成を考える結晶遊離説について詳しくご説明いただいた。この説を基にして、鋳造する金属の凝固温度以上に鋳型を加熱する「加熱鋳型式連続鋳造法、通称OCC(Ohno Continuous Casting)プロセス」が開発され、開発経緯や、概要、種々のOCCプロセス(上向き、水平式、下向き)についてご紹介いただいた。 OCCプロセスは主に線材、棒材、管状鋳塊の製造に向いており、板材の製造としてORC(Ohno Rotary Type casting)プロセスやOSC(Ohno Strip Casting)プロセスも開発されているとのことである。また、OCCプロセスの工業化と製品についてのご紹介もあった。OCCプロセスの実際の動画や鋳造材のミクロ組織も紹介され、鋳型の外で冷却する独自の連続鋳造プロセスを興味深く拝聴した。講演後は聴講者から数多くの質問がなされ、本講演内容への関心度の高さが感じられた。


第34回加山記念講演会ハイブリット開催の様子