関東支部の活動

研究

第35回加山記念講演会が開催される

(公社)日本鋳造工学会
株式会社日立産業制御ソリューションズ
平田 直哉

 2024年4月19日に、第35回加山記念講演会が開催された。今回は東京工業大学名誉教授・物質理工学院特任教授の熊井真次先生より、「凝固ではじまり、凝固でつながり、凝固でひろがる」と題して、ご講演をいただいた。

 高橋・神尾研時代に、偏晶凝固の研究を行いスペースシャトルの第一次宇宙実験テーマに携わった件、ケンブリッジ大学における疲労・破壊・粉末冶金に関する研究、帰国後助教授に任用され引裂靭性評価手法の開発を行い鋳造工学会の優秀論文賞を受賞された件、教授に昇任されてからのカラーメタログラフィーや接合に関する研究など、「凝固にはじまる」非常に多岐にわたる研究成果をご紹介いただいた。

 時間の都合上、「凝固でつながる」接合の話はだいぶ割愛されてしまったが、異種金属接合の機構解明に関するなかで、数値解析を交えた研究を行いアモルファス化する現象をわかりやすく説明できたことを、嬉しそうにご紹介する姿が印象的であった。

 最後に「凝固でひろがる」話として、双ロール鋳造に関する研究について、羽賀先生とともに取り組まれた国プロや、その後の展開を映像を交えてご紹介いただいた。

 今回、学生時代から今日までほぼ半世紀に渡り行われた研究、およびその間の多くの方々との出会いや繋がりについてご紹介いただいた。多彩な研究内容と先生ご自身の軽妙な語り口と相まって、まるで物語を聞いているかのように面白く飽きることがなかったため、あっという間の1時間半だったと感じた。

 質疑においても、試料の作製方法について詳細に説明されている姿が印象的で、先生ご自身が研究を深く理解し、楽しみながら研究されていることが伺え、非常に充実した講演会だったと感じた。

第35回加山記念講演会の様子