関東支部の活動

YFE

YFE工場見学記

(株)EX ONE(エクスワン)と(株)コイワイ 西湘R&Dセンタを見学して

東京工業大学大学院 理工学研究科 材料工学専攻
里研究室 修士1年 小野裕一朗

 2008年9月4日に(株)EX ONE及び(株)コイワイ西湘R&Dセンタの見学会に参加しました。当日はかなり蒸し暑く、時折雨もちらつくあいにくの天候でしたが、総勢23名の参加者がJR小田原駅に12:00に集合しました。

 小田原駅から送迎バスで約20分、小田原市の施設、橘タウンセンター「こゆるぎ」に到着、ここで両工場の概要や工場見学の見所などの説明を受ける。EX ONEは,RP(ラピッドプロとタイプ)高速砂型印刷造形システムによる砂型製造、コイワイはレーザー焼結型のRPシステムなどの説明がメインでした。

(株)EX ONEの見学の様子 その後、EX ONEの工場に移動し、実際にRP高速砂型印刷造形というものを間近で見ることができました。この工法について簡単に説明すると、まずステージに薄く砂を敷き詰め、プリンターが文字を印刷する要領で砂型になる部分の砂地に硬化剤を塗布し,最後に次の層を造型するためにステージをわずかに降ろす、といった作業を繰り返すことで、複雑形状の砂型を少しずつ積層して造型するという技術です。実際にこの装置が稼働しているところを見学しながらこの工法のメリットの説明していただきました。そのなかでも印象に残ったことは、砂型を製造する際に砂型の形状として3次元の形状データを用意して直接印刷造型するため木型作製の必要がなく、また微妙な形状修正にも迅速に対応できること。さらに3次元の形状を2次元的に積層して造型する工法なので、どのような複雑な形状の立体も作製ができるということでした。これによって従来よりも中子の数をかなり減らすことができるとのことでした。いずれの技術も大学院での研究とは違い、実用製品の高品質化・低コスト化に直接結び付くものであり、とても勉強になりました。

(株)コイワイの玄関の前で 次に見学した(株)コイワイでは、レーザー焼結型のRPシステムを見学しました。これは、先に述べた印刷造形と同様に砂を敷き詰めた後、硬化剤で固めるのではなく、レーザーの熱で焼結して造型する工法です。この工法を用いることで砂型印刷造形よりもさらに高精度の砂型を製造することができるということを説明していただきました。また製造した鋳物の非破壊検査の見学もさせていただきました。デジタル測定を行い、鋳物の寸法精度を3次元のカラーマップで判定したり、CTスキャン装置で内部欠陥の有無を確認したりという作業は、大変興味深かったのと同時に製造された複雑な形状の鋳物の寸法精度には驚きました。両工場とも外観もさることながら工場内がとてもきれいで、これも両工場の製造工法のメリットとしてとても大きいものだと感じ、とても心地よい環境で働くことのできる工場だという印象を受けました。

 工場見学後には懇親会に参加し、様々な人との交流を深めることができ、とても有意義な一日を過ごすことができました。最後に、大変お忙しい中貴重な時間を割いて工場見学を実施、ならびにご説明して頂いた(株)EX ONEおよび、(株)コイワイの方々と、このような工場見学会を企画して頂いた関東支部のYFE企画委員会の方々に厚く御恩礼申し上げます。

以上