関東支部の活動

YFE

関東北陸コラボ工場見学会開催

(独)物質・材料研究機構
高森晋

 日本鋳造工学会関東支部YFEでは、主に若手鋳造技術者のための交流の場を設けることを目的とし、近郊の工場を中心に見学会を開催している。この活動自体はうまく機能しているように思っているが、関東支部内の交流にとどまっている感は否めない。日本全国をみるとまだまだ多くの工場や人材が存在しており、支部内だけでイベントを行っているのは、発展性に欠けるのではないかと考えるようになった。そこで他の支部との交流に主眼をおき工場見学を合同でやってみようと考るに至り、北陸支部YFE担当の早川到氏に打診したところ、快諾を得て今回の北陸支部とのコラボ工場見学会の実現となった。

 今回は、早川氏の計らいで富山県の銑鉄鋳物工場とアルミ合金鋳造工場の各1社、計2社の工場見学となった。を見学させて戴けることなりました。 初日の2月18日午後は、株式会社協和製作所(富山県高岡市)さん見学と交流会、19日午前中は株式会社金森メタル(砺波市)さんを見学させて頂きました。
 株式会社協和製作所は1953年創立の鋳鉄鋳物製造加工会社である。KDMの造型ラインを有し普通鋳鉄300t/月、ダクタイル鋳鉄品580t/月の生産能力がある。近年は、シミュレーション技術を取り入れ3次元のCADとシミュレーションによる高品質・高精度の鋳物設計を追究している。勉強会では、「電気炉冷却水設備の故障対策」と題して青山陽介氏(サークル名:赤い彗星)に講演していただいた。設備トラブルによるラインの停止を防ぐことがいかに重要であるかがよくわかった。

 株式会社金森メタルは、1976年に金森藤平商事グループにて設立されたアルミ鋳物製造販売会社である。住宅の玄関周りの装飾パネル、門扉、フェンスや各種機械部品と幅広いアルミ鋳物を製造している。 勉強会では金森敬社長より「生型造型の技術動向と不良をなくす砂処理の考え方」と題し、砂型の基礎知識からダブルスクイズに関することまで幅広く講演していただいた。

協和製作所さんでの勉強会 青山氏講演の様子協和製作所さんでの勉強会 青山氏講演の様子金森メタルでの集合写真 (雪が降りました)


 今回企画した立場として一番の心配は天候であった、今年は特に雪が多く、列車が止まることも何度かあり、北陸での2月開催は一か八かの感もあった。開催初日の2月18日は関東で雪模様となり、どうなることかと思ったが、列車には全く影響がなく予定通りの開催となり胸を撫で下ろしている。
 いつもの関東YFE工場見学会では懇親会を開催していたが、今回は交流会という名前に変更し支部間の交流を深めることを目的とした。交流会では世の中の景気の悪さが吹き飛ぶような盛り上がりを見せてくれた。日本の地方都市は疲弊しきっているというニュースを見ることも多く、高岡の駅前の雰囲気もそれを感じさせる物があったが、北陸の鋳造関係者はまだまだ熱いものがみなぎっていると感じることができた。

 バンクーバーオリンピックのパシュートで日本の銀メダル獲得のニュースが流れた。3名出場のうち2名は富山県の中小企業に所属しているとのこと。スケートリンクも無いこの会社の従業員数は、金森メタルさんとほぼ同じとの事だが、こんなもすごいことを成し遂げることができる。このことはという会社の大きさでも所在地でも無いことを示してくれたような気がする。しっかりとした技術があって初めて様々な変化に対応できる。今回見学させて頂いた会社からは、種々の変化に対応しながら真剣に前に進もうとしている意気込みを感じることができた。

 最後に、貴重な時間を割いて工場見学を引き受けて頂いた株式会社協和製作所さんと株式会社金森メタルさんの方々、また、忙しい中ご参加頂いた各位に厚く御恩礼申し上げます。