関東支部の活動

YFE

YFE委員会報告

鋳物体験教室

YFE委員 本山 雄一

【高校生のための鋳造体験教室の実施報告 】

 7月30日、31日の2日間にわたり、鋳造の原理と座学と実習から学ぶことを目的として鋳造体験教室をものつくり大学西直美研究室にて行ない、埼玉県立狭山工業高校の生徒11人と引率の先生方3人が参加されました。始めに鋳造法に関する講義が行われました。鋳造法の特徴、鋳物の歴史、鋳物の用途、各種鋳造方法の説明、各種鋳造合金、鋳型について学習を行いました。午後からは実際にスタイロフォームを加工し、ネームプレート用の模型の作製を行ないました。生徒達には、抜け勾配の理解が難しかったようでしたが、指導を受けつつ、厚肉部に押し湯をつけたり、デザインを工夫したりと、各々熱心に模型作りに取り組んでいました。

 2日目の午前は自動車に使われる鋳物について講義があり、主に自動車のエンジンに使われる鋳物について学習を行ないました。排出ガス規制により、燃費の向上を目的とした車両の軽量化が必要であり、それに対して鋳物の使用による軽量化が有効であることを学びました。また最新の話題として、ボア溶射のエンジンブロック、アルミニウムダイカストの車体系部品への適用、電動自動車における鋳物に関しても紹介があり、生徒達も熱心に耳を傾けていました。午後は、前日に作製したネームプレートの模型とガス砂を用いて、造型、注湯を行ないました。模型を砂型から抜く際、抜き勾配が十分ついていない模型は取り外しに苦労しました。生徒達は抜き勾配の必要性について、この時に良く理解出来たようでした。その後、溶解したAC4C合金を、指導を受けた生徒達が自らの鋳型に注湯を行ないました。出来上がったネームプレートはどれも目立った不良はなく、生徒さんの二日間の努力が実り、自然と笑顔がこぼれていました。締めくくりに今回の鋳造体験についての総評を行いました。生徒達からは、「楽しみつつ良い経験が出来た」、「優しく鋳物作りを教えて貰ったのが良かった」、「自らの手でものを作るのが良かった」、「普段出来ない体験が出来た」、「今後の経験に活かしていきたい」、「進学する際の参考にしたい」等の意見が出ました。先生方からは、「鋳造体験を通して、生徒達が自ら考えることを学ぶことが出来た」 等の意見をいただきました。最後に皆で鋳物を前に記念写真を撮り、今回の鋳造体験教室を無事に終えることが出来ました。

 この度の鋳造体験教室の参加者募集の際、普段鋳造を履修しない電気・電子機械科の生徒達から参加の強い希望があったとのお話を先生方からお聞きしました。普段材料加工プロセスに馴染みのない生徒も鋳造に興味を持っており、鋳造体験教室はそのような生徒達にも鋳造を体験してもらう良い機会であると思います。そのような貴重な場を提供する鋳造体験教室を今後も継続していけるようにYFEをはじめ、学会関係者の皆様には引き続きご支援いただければと思います。