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リレーエッセイ

「鋳造カレッジ」エピソード

石原技術士事務所
石原 安興

石原 安興 氏 平成17年に経済産業省の「産学連携製造中核人材育成プロジェクト」への参加募集があり、学会として近畿大 木口教授が委員長となり鋳造の中核人材育成をやろうということになった。3年間で適当な講座を探すべく50講座と、実習として鋳鉄、軽合金、非破壊検査を試みで行いカリキュラムを作ろうというものである。最終的に毎年全国3か所で30講座60時間の授業と1週間のインターンシップ(実習)のカリキュラムを作り上げた。これを受けて日本鋳造協会が「鋳造カレッジ」ということで、中核人材育成をしていくことになった。関東では平成20年度、21年度と川口で、行ってきた。
 平成17年度からの3年間のプロジェクトと平成20・21年度の「鋳造カレッジ」でのエピソードをいくつかあげてみる。

  • 某教授の「状態図」の講義。アンケート結果は「難しい」「今一、理解できません」。そこで、2時間のみの講座ではなく「凝固」,「CEメーターとは」という2つの講座(各2時間)も併設し、ここでも説明を加えていただき、更により分かり易くという先生の努力の結果、最近では「なんとなく分かった」となってきた。
  • でも、普通の講習会と違い寝る人がいない。
  • 先生方も実習は初めての経験なので、一応事前に予行したもののいざ実際になると問題発生。湯の処理をもたもたやっていて固めてしまった。すると、手慣れた何人かの受講生が「取鍋を洗えばいいんだよ。」とさっさと処理してくれた。どちらが先生かわからなくなった。
  • プロジェクト時の講義で全講義の3分の2以上出席のこととしており、これを満たさない者は次年度から受講お断りと言い渡した。が、会社では重要な人たちなので、とうとう1人の受講生は「仕事が多く出席できないので受講を止めます。」と去っていった。とはいうものの、逆に、熱心で全日出席という人もいた。
  • 欠席の多い者には社長さんあてに「欠席が多い。」と連絡したところ、知らなかった社長さんは「どうなっているんだ!!!」と受講生を叱り飛ばしたという話、「採点されたレポートを見せろ。」と言われしぶしぶ見せたら「なんだこの点は!!!」とお目玉を食らったとのこと等関心の高い社長さんの話を耳にした。
  • 30講座すべての講義でレポート提出し60点以上取れば「鋳造技士」という資格を鋳造協会から授与される。この資格をもらった者が社内で鋳造講座を開催しているとの話もある。21年度までに全国で約200人の「鋳造技士」が誕生していることもあり、これからの日本の鋳物作りが強化されていくであろうと楽しみである。
  • 型込めだけでやってきて材質に無関心であった者が、1年教育を受けて帰ってきたら「鋳物は材質が重要です。」と社長の前で発言し、社長は感激。
  • 鋳造カレッジの仲間がどんな製品を作っているのか、どんな会社なのか知ろうと各社の会社案内を持ち寄った。「あれ?俺のところでなくなった製品がお前の会社のカタログに載っている!!!」
  • せっかく同じ釜の飯を食ったのだから同窓会をやろうと、鋳造協会の行事の時に集まり一杯やって絆を確かめあったりしている。そのうちに全国組織の同窓会組織を作るとか。

22年度も関東で開催される。また、心強い鋳物の仲間が増える!!!   完