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リレーエッセイ

夢への挑戦

日野自動車株式会社  茂木 淳
熊井 真次 氏

 私は高専の機械工学科を卒業後、鋳造技術畑で育てられ来年で20年になります。昔は考えもしなかったことですが、今は鋳造の技術サポートやこれまでの経験や技術を伝える立場になってしまいました。

 誰もが抱くそれぞれの仕事上の「夢」を実現するため、私なりに「どう実現するか?」、「どのように挑戦するか?」をこれまでの経験から振り返ってみました。
スポーツ選手ですと、「まず自分の実力を知った上で、5年後・10年後に目指す姿を思い浮かべ、より具体的な行動計画を立てて日々努力をし、夢を実現していく」と聞いたことがあります。

 我々エンジニアに置き換えますと、まず現場で現物を具体的に診る「3現主義」を実行、問題点を把握し、その後教本や研究論文にて理論を確認し自分の言葉(技術)となるように知識を深める。そのうえで、原理・原則・あるべき姿=目標を設定し、その達成に向けて日々問題解決のための努力をする事が、身近にある「日々の夢」を実現することだと私は思いやってきました。さらに、レベルアップするために、まず「昔からある技術(製造方法)が正しいのか?」と自分に問いかけ、そして新しいことにチャレンジすることも大切でした。「エンジニアの夢(希望)」を実現するには、しっかり企画を練って、「自分ならこう考えて、既存技術の改善や新技術にチャレンジするのだ」という信念を持つことが大切で、失敗もありましたが、成功した際の達成感や製造現場からの賞賛は、次に進むためのエネルギーになりました。また、企業の一員としての原価低減などの改善効果も社内外や国内外の鋳造業界の競争力強化にも寄与出来、結果としてお客様に対してより付加価値の高い商品を提供でき、喜んでいただけました。

 以下に「夢を実現するには、どうするか?」を具体的にお話します。

「背伸びをした技術に無理に挑戦することは望みません。」
私の経験では、「いきなり100点を取りなさい」と言われたことはありません。まず80点を目標とし、100点に近ずけるためには,各職場の有識者からの助言を頂くことが大切だと思います。前を向いて進んでいれば、必ず後押ししてくれる人たちが現れます。

②「わかっているつもりの知識では、夢を実現することはできません。」
ここで、学習の4段階という話をさせて頂きます。何も知らない何も出来ない『無意識的無能』から始り、知っている(やっている)段階に進めば『意識的無能』となります。その後、できる段階となり『意識的有能』、最後に当り前のように習慣づいている『無意識的有能』になります。「無意識的有能」の段階に到達すれば、「夢」を実現するためにやるべき事を無意識で分かり実行できるわけで、そんな癖を会得できるよう努力することが必要です。

 少々固い話となってしましたが、各自が思い描く夢に対して、より具体的な実行計画をもって進んでいくことが大事で、私も「日々努力!!まだまだ勉強!!」地に足をつけて進んで行きたいと思います。