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今年度の秋の褒章

伊藤 光男 氏 今年度の秋の褒章で、日本鋳造工学会会員 伊藤光男氏が栄えある藍綬褒章を受章いたしました。日本鋳造工学会の一会員として心からお喜び申し上げます。伊藤氏は昭和50年3月に早稲田大学大学院理工学研究科を卒業後、伊藤鉄工株式会社に入社し銑鉄鋳物製造業の製造現場から鋳物人生のスタートし、現在は株式会社伊藤鉄工代表取締役として活躍されています。さらに川口鋳物工業協同組合理事長、埼玉県中小企業団体中央会副会長、日本鋳造協会理事など多くの公職を兼任されており、川口のみならず日本全国の鋳物産業の発展に大きく寄与したことが高く評価され、今回の受賞に繋がったものと推察いたします。

 伊藤氏は若い頃から篤実温厚にして、人望厚く、強いリーダーシップも兼ね備えており、鋳造工学会の若手研究者・技術者の研鑽の場として鋳造工学会・YFE関東支部の立上げ時、その委員長として存分にその能力を発揮し、多くの若手研究者・技術者の育成に尽力し、YFE組織の拡大・拡充に寄与しました。

 また、鋳造技術の研究開発に並々ならぬ意欲を持ち、それまでは自社製品のマンホール、車止め、土木景観材等の鋳物製品が主であったが、鋳鉄の材質に着目し中小企業庁のプロジェクトである「JAPANNブランド育成支援事業」として薄肉ダクタイル鋳鉄製フライパンや鍋などの開発に着手し、その実用化に成功しSGマークの認定も受けるなど、鋳物を生かした新製品開発戦略に成功し、最近では低熱膨張鋳鉄の商品化も行っています。

 昨年の東日本大震災時、夏季電力使用制限令に向けた取組の中で、伊藤氏は組合内での共同使用制限スキームを提案し、使用最大電力の削減目標(15%)を上回る30%の削減を達成いたしました。さらに生産量は震災前を9%上回ることができ、エコジャパンカップ2011において“計画停電の川口モデル”として評価され『エコ復興 絆賞』を受賞しました。伊藤氏の行動力とリーダーシップにあらためて敬意を表します。電力といえば今年の電力料金値上問題の時、伊藤氏がテレビニュースに出演し、堂々と中小企業の立場を代弁して値上げに反論した姿が印象に残っています。

 あらためて伊藤氏の受賞を心からお祝い申し上げると同時に、舵取りの難しい鋳物産業の発展に益々ご尽力いただけるよう、若い伊藤氏に期待して拙文を終わりにします。

(文責;蓑輪幸三 元関東支部理事)