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鋳物用語解体新書

飲み:のみ pouring rate

 鋳込み速度のこと。「湯飲みがいい」「湯飲みが悪い」などと使われている。鋳型に溶湯を注ぐ、そのとき注がれた溶湯が湯口から湯道そして堰を通って鋳物になる空間に流れ込み、充填されるまでの時間の長短を意味する。

 鋳込み速度は、湯口方案の設計(有効高さ、流量係数、湯口、湯道そして堰の断面積などから計算)でほほ決まっているので、この言葉は溶湯の性状を表す現場用語と考えられる。したがって、「飲み」に影響を与える因子は、溶湯成分(共晶組成が最大)と注湯温度(高い方が良い)である。以前に紹介した「のたる」湯は、「飲みのいい」湯にということになる。

「飲む」とは、人間や動物の所作を表す言葉なのだが、「鋳込み作業中に鋳型の湯口が溶湯を飲み込む」と擬人化して表現する想像力に感心する。

(H.K)
(2010年10月)