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鋳物用語解体新書

チョーク:choke

 Choked runner system:「湯道に設ける絞り。鋳物本位に熔滓やゴミ、酸化物などが入るのを防止する目的で湯口などに設ける絞り部」とある。<鋳物用語辞典、日本鋳物協会編集、日刊工業新聞社 発行(昭和32年9月30日)>

 まず、①チョークと言えば、学校で黒板に字や絵を書くために用いる白墨(はくぼく)のことを想像するが、スペルはchokeではなくchalkで、意味も違う。
 もう一つは、②「チョーク弁(Choke valve)」。これは、一昔前のガソリンエンジン自動車で始動しやすくするためにキャブレターに組み込まれているエンジンに送り込む混合気の濃度を調節する機構。真冬の朝の冷え切ったエンジンは、セルスイッチを押しても、なかなかからない。そんな時に、これを引くと空気の通り道が狭くなり、ガソリンの濃度が高く(濃く)なるのでエンジンがかかりやすくなる。なお、チョークを引きっぱなしで走っていると、ガソリンがプラグがカブってしまう可能性がある。暖機が済んでアイドリングが落ち着いたら、すみやかに戻すことを忘れずに。(WikipediaとYAMAHA「バイクの用語辞典」参考)。少し近づいたがもう少しの所。
 そこで、③Chokeを英和辞典で引くと「のどを詰まらせて窒息させる」、「場所・管などを塞ぐ、詰まらす」の意味、これが最も分かりやすいようだ。

 これにより鋳型内の溶湯流に淀みを作り、巻き込んだゴミやノロを分離し、製品に入れない。経験から得られた工夫だろう。この意味で、溶湯を湯道から製品に導く「堰(せき)」は、最大のチョークと言える。

(H.K)
(2011年8月)