関東支部のご案内

年頭の挨拶

年頭の挨拶

(社)日本鋳造工学会 関東支部
支部長 里 達雄

里 達雄新年、明けましておめでとうございます。

 皆様におかれましては、新しい年を迎えられ、新たな決意や夢を抱いておられることでしょう。本年は「戌年」として、ご健勝で実りの多い一年になることを祈念いたします。

 日頃は関東支部の諸活動に暖かいご支援とご協力をいただき、心から厚くお礼申し上げます。特に、昨年5月には、第146回全国講演大会を関東支部の世話で実行いたしました。講演発表会やオーガナイズドセッションは勿論のこと、技術講習会、カタログ展示コーナー、工場見学会、エクスカーション、懇親会、そしてこども鋳物教室など、盛りだくさんの内容を企画実行しました。大会には多数の参加者を得て、盛会裡に無事終了することができました。ご担当された方、ご協力された方、また、ご参加された方、皆様に衷心よりお礼申し上げます。これもひとえに関東支部の強い団結力の賜物と、頼もしく思っています。

 さて、関東支部の活動も年々活発になり、研究委員会、現場鋳造技術研究会、YFE企画委員会、広報委員会はじめ、実り多いものになっていると自負しております。一方では、今後更なる発展も必要でしょう。その大きな柱の一つは、鋳造分野の技術の伝承と人材育成にあると考えます。鋳造現場に長年蓄えられた貴重な技術、鋳物技術者ご自身の身についている数々の貴重な技を如何にして次の世代に引き継ぐか、そもそも引き継ぐべき次世代の人材を如何にして確保するかが重要な課題です。科学技術活動の基盤は言うに及ばず「人材の育成と確保」にあり、世界的に最重要な戦略課題になっています。とりわけ、我が国は少子高齢化が急速に進んでおり、研究者・技術者の「人材の量と質」の確保が危急の課題でしょう。「ものづくり白書」(2004年版)によれば、中学生・高校生が将来「やってみたい職業」にものづくり関連の職種はきわめて低い割合でしか選ばれていません。「イメージできる職業」のアンケートで、ものづくり関連職業は多くがイメージできないと答えています。「鋳物工」は中高生にとってどんな仕事をするのかがイメージできていません。ものづくり職業の中でもきわめて低い位置にあります。イメージできないから将来そのような仕事をやってみたいとは思わないのでしょう。ペットショップ店員や美容師はイメージできる職業にも、やってみたい職業にも上位にランクされています。ここに我々の出番があると思います。特に、「いもの」の表も裏も熟知した鋳物のベテランや現役をリタイヤした人たちが力を合わせ、小中高生や大学生に「いもの」を伝えること、そしてそれがどのような仕事なのかを子供たちに知ってもらうこと。ベテランは生きがいを得、子供たちは夢を得る。少子高齢化社会の一石二鳥の活動だと思います。

 年頭に当たり、そのような夢を描きました。幸い関東支部には有能な多くのベテランがおります。関東支部の組織体制をさらに充実させ、「いもの」に夢とやりがいを醸成できる活動の仕組みが作り出せないかと皆様と相談しているところです。 最後になりますが、本年の皆様の益々のご多幸とご繁栄を祈念し、ここに年頭の挨拶とさせていただきます。