関東支部のご案内

年頭の挨拶

技術開発の根底は「人づくり」

(社)日本鋳造工学会 関東支部
支部長 佐藤 健二

佐藤 健二 新年おめでとうございます。
  新たな年を迎えられ,会員の皆様におかれましては,今年一年が健康で,一層の飛躍の年になりますよう心からお祈り申し上げます。
 2008年は,「変」の一字で表されますように通常では予想もつかない様々なことがおきました。食の安全性や偽装問題,エネルギーや原材料の高騰,米国発のサブプライムローン問題に端を発した不況などが起こりました。
 特にサブプライムローン問題による金融危機は,自動車産業を直撃し,米国の3大自動車メーカばかりではなく,日本の自動車メーカにも大きな打撃を与えました。さらに円高などの要因も重なり,製品の多くを自動車部品として供給している鋳造業界にとって自動車メーカの大幅な減産は,経営環境を大きく悪化させております。皮肉なことに,あれほど高騰を続けていた原油や原材料価格は,現在では,2年前の水準に落ち着いております。
 最近の景況や流行(はやり)は気候変動と同様に短期間で大きく変化しております。また,環境問題を初めとする社会環境の変化は,製品に対して新たなニーズを生み出しております。つまりニーズに対応するための新たな製品が生まれております。このことは常に新たな技術開発を行って行かなければならないことを意味しております。
 「技術開発」というと以前NHKテレビで放映された「プロジェクトX」を思い起こす方が多いと思いますが,まずは組みやすいテーマに手を付けることです。取り掛かりとして,これまで納品に追われ取り組めなかったテーマから始めることです。「現場の技術改善」は,これまでの日本の技術を支えてきた大きな財産です。では,誰がこれを行ってきたかというと,現場の「職人」と「技術屋」です。「人を育てる」ことが今後の技術開発に繋がります。世の中の変化に対応して技術も変わる・自分も変わるという意識が大事だと思います。
 関東支部では,「人材育成」や「技術開発」の一助となるため,会員の皆様に技術情報の提供と交流の場を増やし,なお一層努力して行く所存でございます。是非積極的にご参加下さいますようお願い致します。
 また,今年5月29日~6月1日の4日間,第154回全国講演大会が早稲田大学(大久保キャンパス)で開催されます。「子供いもの教室」に始まり「技術講習会」,「エクスカーション」,「講演大会」,「工場見学会」などの行事を成功させるため,大会の実行委員会である我が支部皆様のご協力とご支援をなにとぞよろしくお願い致します。
 最後ですが,昨年,支部にとって嬉しいことがありました。素形材センターの「第7回ものづくりコラボレーション表彰」において,支部YFE(若手鋳造エンジニア)企画委員会が,長年の「鋳造体験によるもの造り教育支援」活動によって素形材センター会長賞を受賞しました。「子供いもの教室」や「鋳物体験教室」に参加した生徒が,将来の鋳造業界を支える人材の一人になってくれるのではないかと考えると,とても重要で素敵なことだと思います。