誰でも分かる技術

誰でも分かる鋳物基礎講座

現場におけるQC的問題解決の進め方(第5回)

公益社団法人日本鋳造工学会
佐藤 万企夫
4 問題解決の手順(QCストーリー)
 QCストーリーに沿った問題解決の方法を「QC的問題解決法」という。これは発生している問題の再発防止を図るためのシステム的なアプローチの方法である。
 私たちは職場で不具合やトラブルが発生すると、対処方法を考え、直ちに応急的な措置を取り問題の拡大を防ぐ、そして一段落した後に、あらためてこれらの問題に対し、再発を起こさないような根本的な対策を取るべく活動を開始する。このときに「QC的問題解決法」が役に立つ。
  QC的問題解決法は、その活動がシステム化されていると同時に、QC7つ道具を活用することにより、効率的に進めることができる。QC的な問題解決は、次の図のステップに沿って行うとよい。

図 QC的問題解決法のステップ

 具体的な活動事例「プレッシャープレート加工後の不良率低減」に基づき、実際の進め方を説明する。ここではステップの一部を省略し、重要なポイントのみとする。

STEP1 テーマの選定
 職場や業務上の問題を洗い出し、評価を行い重要な問題を取り上げる。(重点指向)
 ここでいう評価とは、洗い出されたいくつかのテーマ候補について「緊急性」「重要度」「実現性」「方針」「効果」等で評価を行い、「総合点」の高いテーマ候補を取組むテーマとして選定する。この際、なぜそのテーマを取り上げたのか、その選定理由を明確にするため、選定されたテーマに関連する事実をグラフなどで表し、取り組む重要性を確認したうえで「テーマ」として決定する。

(例):部品A(多種プレッシャープレート)の加工先4社での、加工数と不良率を調べたところB社での不良率が8.4%と高く、他社と比して慢性的に悪いことが確認できたので、B社製品の不良対策を進めることにした。