誰でも分かる技術
現場におけるQC的問題解決の進め方(第6回)
公益社団法人日本鋳造工学会
佐藤 万企夫
佐藤 万企夫
4 問題解決の手順(QCストーリー)その2
STEP2 現状把握と目標の設定現状把握ではテーマに取り上げた問題を、グラフやヒストグラムなどで示すことで、特性値の推移やばらつきを把握し、悪さ加減を明らかにする。その後、特性値のデータを層別し、パレート図を描くことにより重要な問題点を抽出する。層別にあたっては、例えば、どのような不良か(不良内容)、発生部位はどこか、いつの鋳込みか、いつのロットか、中子はいつのものか、多数個取りの場合、型番別(鋳型枠内での配置位置)にみるとどうか、鋳込み温度はどうか等、鋳造の場合、多くの切り口で層別して調べるとよい、ここでは一例を示す。 |
この現状把握のプロセスがきちんとできると、問題の所在が明らかになり、要因の解析から対策の立案がやり易くなる。 ここでは6つの切り口から現状を調べた。不良発生状況、不良内容別の調査(現状把握1&2)さらに不良詳細の特定(現状把握3)生産方法と不良発生位置(現状把握4)不良発生品と合格品の化学成分比較(現状把握5)、本製品の鋳込み温度(現状把握6)である。この結果、部品Aの摺動面側に発生するザク巣のようなものと、バランス不良で不良の90%近く占めていることが分かった。不良品の化学成分に異常は認められなかった。 現状の把握で悪さ加減が見えてきたら、次に目標を設定する。目標設定は「何を」「いつまで」「どうする」を決めることで、これを目標の3要素と呼ぶ。問題解決にあたり、必ず明確にして取り組むべき内容である。 「何を」は、目標項目ということができ、テーマ、即ち管理特性の達成度を最もよく表せる数値特性で設定する。例えば、A部品のひけ不良率とか、造型ラインの稼働率、時間当たりの造型枠数、あるいは高周波誘導炉の溶解電力原単位、築炉原単位等である。 「いつまで」は、活動期間で、計画時から目標達成期日までの期間を決める。期間の決め方にルールはないが、一般的にこの活動を何のために行うのか、という観点で考えると、年度業務目標達成のため、3か月後、6か月後、前期末、年度末までということで進めるケースが多くなってくる。ただ、現状把握である程度解決のめどが立ちそうなことがわかれば、可能な限り早く解決して成果を出すことは言うまでもない。 「どうする」は、設定した目標項目について、上位方針である年度の目標値を達成するために必要な数字や、自分たちが努力すればできそうなレベルの一歩上の数字、即ちストレッチして頑張ればできそうな数字に設定するとよい。大切なのは、目標設定の根拠で、「何故その目標にしたのか?」ということが理論的に説明できることである。 |
ここでは「B社で加工しているプレッシャープレートAの加工後不良率」を「2006年3月31日迄」に「4.0%未満」にする、ということにした。PP-Aの加工数は。B社での加工数の30%強を占め、この不良率が4.0%未満になれば、全体の不良率が20%減り、B社向け加工不良率目標を達成できるからである。 |