この現状把握のプロセスがきちんとできると、問題の所在が明らかになり、要因の解析から対策の立案がやり易くなる。
ここでは6つの切り口から現状を調べた。不良発生状況、不良内容別の調査(現状把握1&2)さらに不良詳細の特定(現状把握3)生産方法と不良発生位置(現状把握4)不良発生品と合格品の化学成分比較(現状把握5)、本製品の鋳込み温度(現状把握6)である。この結果、部品Aの摺動面側に発生するザク巣のようなものと、バランス不良で不良の90%近く占めていることが分かった。不良品の化学成分に異常は認められなかった。
現状の把握で悪さ加減が見えてきたら、次に目標を設定する。目標設定は「何を」「いつまで」「どうする」を決めることで、これを目標の3要素と呼ぶ。問題解決にあたり、必ず明確にして取り組むべき内容である。
「何を」は、目標項目ということができ、テーマ、即ち管理特性の達成度を最もよく表せる数値特性で設定する。例えば、A部品のひけ不良率とか、造型ラインの稼働率、時間当たりの造型枠数、あるいは高周波誘導炉の溶解電力原単位、築炉原単位等である。
「いつまで」は、活動期間で、計画時から目標達成期日までの期間を決める。期間の決め方にルールはないが、一般的にこの活動を何のために行うのか、という観点で考えると、年度業務目標達成のため、3か月後、6か月後、前期末、年度末までということで進めるケースが多くなってくる。ただ、現状把握である程度解決のめどが立ちそうなことがわかれば、可能な限り早く解決して成果を出すことは言うまでもない。
「どうする」は、設定した目標項目について、上位方針である年度の目標値を達成するために必要な数字や、自分たちが努力すればできそうなレベルの一歩上の数字、即ちストレッチして頑張ればできそうな数字に設定するとよい。大切なのは、目標設定の根拠で、「何故その目標にしたのか?」ということが理論的に説明できることである。 |