誰でも分かる技術

誰でも分かる鋳物基礎講座

現場におけるQC的問題解決の進め方(第7回)

公益社団法人日本鋳造工学会
佐藤 万企夫
4 問題解決の手順(QCストーリー)その3
 問題解決の手順で最も重要なのは要因の解析である。要因の解析は、結果(特性)に大きな影響を及ぼしていると思われる要因を抽出し、その中からどれが真の要因かを検証するプロセスで、なぜ悪いのかを明らかにするものである。即ち特性と要因の因果関係を明確にすることである。
 解析の手順は、4M(人、設備、材料、方法)等の観点から「なぜなぜ」を繰り返し、特性に影響を及ぼしていると思われる要因を洗い出す。洗い出された要因が論理的につながることを確認し、特性要因図に書き表す。
 次に、過去の経験や固有技術を活用して、特性に大きな影響を及ぼしていると思われる重要要因を絞りこむ。特性と絞り込んだ重要要因との関係を、データで検証する。要因の水準を変えてみて、結果である特性値がどう変化するかどうかを確認する。変化すれば主要因と判断できるとともに、特性値を規格に入れるための水準を決めることに繋げることができる。これが対策に繋がる。例えば、図の特性要因図で、特性(巣発生)に対し、一次要因(大骨)として鋳型設計、湯口方案、溶湯条件、中子条件が挙げられた。それぞれの一次要因に対し「なぜ」「なぜ」を繰り返し、二次、三次要員を書きだす。その結果、主要因として「押湯高さ不十分」「ガス抜き不充分」等5項目が挙げられた。主要因が抽出できたので、次に主要因の検証を行う。主要因として挙げられた項目の水準を変化させる、作業を観察する、データを取るなど、三現主義に従って事実をもとに検証する。
 このプロセスでは、次の2つが大変重要である。
 1。「要因」の「洗い出し」
 2。要因解析の「掘り下げ」
STEP4 対策の立案
 要因の解析で究明された真の要因に対して、それを除去するための対策を検討・評価・選択し、適切な対策案を立案する。
 対策は真の原因を取り除き再発しないよう、特性要因図で抽出したそれぞれの要因に対し、それが解消するようなアイデアを、系統図等を利用してツリー的に展開していく。
 このように出てきた多くの対策案の中から、目標を達成するために有効な対策を選定する。評価は一般的に「効果」「実現性」「コスト」さらに「副作用」についても行うとよい。
 評価の結果「ガス抜き不十分」「注湯温度不適正」「ガス発生量が多い」が候補に挙がった。そこでこれらに対し、それぞれ対策を立案する。